ISO27001(ISMS)

ISMSの定期運用で1年間に実施すべきこととは

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ISMSの定期運用で1年間に実施すべきこと

〜ISO/IEC 27001のPDCAサイクルに基づく年間活動〜

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、「構築して終わり」ではなく、毎年継続的に運用・改善していく仕組みです。
ISO/IEC 27001(JIS Q 27001)では、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを継続的に回すことが求められています。

この記事では、ISMSの1年間の運用で実施すべき主な活動を、時期ごと・テーマごとに整理して解説します。


1. 年間スケジュール全体像

ISMSの年間運用では、以下のようなサイクルを想定すると効果的です。

時期主な活動規格との対応
4〜6月(年度初期)リスクアセスメントの見直し/目的・目標の設定/教育計画の策定6.1, 6.2, 7.2, 8.2
7〜9月(中盤)内部監査の実施/是正処置の実施9.2, 10.1
10〜12月(後半)マネジメントレビューの実施/運用状況の点検9.3, 10.2
1〜3月(期末)改善計画・次年度計画の策定/教育・訓練の再実施10.2, 7.2

※スケジュールは組織の事業年度に合わせて調整します。


2. 【Plan】計画段階で実施すること

(1) 組織の状況・利害関係者の見直し(4月頃)

  • 組織の事業・体制・外部環境の変化を確認
  • 法令・顧客要求事項の更新確認
  • 利害関係者(顧客、委託先、社員など)の要求事項を再整理

📘 対応規格:JIS Q 27001 4.1~4.3


(2) リスクアセスメント・リスク対応の見直し(4〜6月)

  • 前年度のリスク対応結果を評価
  • 新たなリスク(新規システム導入・クラウド利用・テレワーク等)を特定
  • リスクアセスメント表を更新し、必要な対策を決定

📘 対応規格:6.1(リスク及び機会への取組)


(3) 情報セキュリティ目的・目標の設定

  • 方針に基づき、年度ごとのセキュリティ目標を策定
    (例:教育受講率100%、インシデント0件、バックアップ点検100%実施など)
  • 目標達成のためのKPIを設定

📘 対応規格:6.2(情報セキュリティ目的)


3. 【Do】運用段階で実施すること

(4) 教育・訓練の実施(年間通して)

  • 全従業員向けのセキュリティ教育(年1回以上)
  • 新入社員向け教育
  • 管理者・システム担当者向けの専門教育
  • 緊急時対応訓練(情報漏えい・災害・サイバー攻撃など)

📘 対応規格:7.2, 7.3, 7.4(力量・認識・コミュニケーション)


(5) 運用ルールの遵守と点検

  • アクセス権管理、バックアップ、ログ管理、外部委託管理などを定期的に実施
  • 運用記録(証跡)を保管
  • 必要に応じて改善提案を提出

📘 対応規格:8.1〜8.3(運用管理)


4. 【Check】確認段階で実施すること

(6) 内部監査の実施(7〜9月頃)

  • ISMSの各運用プロセスが規格要求・自社ルールに適合しているか確認
  • 監査計画・チェックリストを策定
  • 監査結果を報告し、是正処置を依頼

📘 対応規格:9.2(内部監査)


(7) マネジメントレビュー(10〜12月頃)

  • 経営層がISMS全体の有効性をレビュー
  • 監査結果、インシデント、教育結果、リスク状況、改善提案を報告
  • 方針や目標、資源の見直しを決定

📘 対応規格:9.3(マネジメントレビュー)


5. 【Act】改善段階で実施すること

(8) 是正処置・改善活動(年間を通して)

  • 監査やレビューで見つかった不適合に対して原因分析
  • 是正処置を実施し、再発防止策を策定
  • 改善結果を文書化し、次年度運用に反映

📘 対応規格:10.1, 10.2(不適合及び是正処置・継続的改善)


6. 年間運用で押さえるべき記録・証跡

ISMSの運用では、「実施したことを示す記録」が重要です。
1年間で残すべき主な証跡は以下の通りです。

項目主な証跡例
方針・目的情報セキュリティ基本方針、年度目標
リスク管理リスクアセスメント表、リスク対応計画書
教育教育実施記録、受講者名簿、教材
運用アクセス権管理表、バックアップ記録、点検結果
監査監査計画書、監査報告書、是正処置記録
マネジメントレビューレビュー議事録、改善決定事項
改善活動改善提案書、不適合報告書、対応履歴

これらの証跡を整理・保管しておくことで、ISMS認証審査時にもスムーズな説明が可能になります。


7. まとめ:ISMS運用のポイント

ISMSの1年間運用では、次の3点を意識することが重要です。

  1. 計画的にPDCAを回すスケジュール管理
     → 年間行事として定着させる。
  2. 記録(証跡)を残す習慣化
     → 実施した証拠がなければ“やったこと”にならない。
  3. 改善を止めない
     → 内部監査・レビューを“次の改善”につなげる。

これを継続して実践することで、ISMSは単なる形式的な仕組みではなく、
組織のリスク管理と信頼性を高める実践的な経営ツールとして機能します。

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