ISMSのリスクアセスメントとは
ISMSのリスクアセスメントとは
■ リスクアセスメントの目的
ISMS(Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム)におけるリスクアセスメントとは、組織の情報資産に対して発生しうる情報セキュリティ上のリスクを特定し、分析・評価するプロセスのことです。
目的は、「どのリスクに対して、どのような対策を講じるべきか」を明確にすることです。
ISO/IEC 27001では、リスクアセスメントはISMSの中核的活動と位置づけられており、組織の情報セキュリティ管理策を決定する基礎となります。
■ リスクアセスメントの流れ
リスクアセスメントは、主に以下の3つのステップで進めます。
1. リスクの特定
まず、組織が保有する情報資産(例:顧客データ、システム、ネットワーク、紙文書など)を洗い出します。
次に、それぞれの資産に対して発生しうる**脅威(例:不正アクセス、誤操作、災害など)と脆弱性(例:パスワード管理の甘さ、バックアップの不備など)**を特定します。
これにより、どのようなリスクが存在するかを明確にします。
2. リスクの分析
特定したリスクについて、**発生可能性(どの程度起こりうるか)と影響度(起こった場合の損害の大きさ)**を評価します。
一般的には、以下のようなマトリクスを使ってリスクの大きさを定量・定性的に判断します。
| 発生可能性 | 影響度 | リスクレベル |
|---|---|---|
| 高い | 高い | 非常に高い |
| 低い | 高い | 中 |
| 低い | 低い | 低 |
これにより、優先的に対策すべきリスクが明らかになります。
3. リスクの評価
分析結果をもとに、組織が定めたリスク受容基準(どの程度のリスクを許容するか)と比較します。
基準を超えるリスクは「受容できないリスク」と判断し、リスク対応策(コントロール)を検討・実施します。
■ リスクアセスメントの結果の活用
リスクアセスメントの結果は、リスク対応計画の策定に活かされます。
ISO/IEC 27001の附属書Aに示されている管理策(例:アクセス制御、暗号化、物理的セキュリティなど)を参考に、具体的な対応を決めていきます。
また、リスクアセスメントは一度きりではなく、定期的に見直すことが重要です。
組織の業務内容、システム構成、外部環境が変われば、リスクの内容や重要度も変化するためです。
■ まとめ
ISMSのリスクアセスメントとは、
「組織の情報資産を守るために、リスクを洗い出し、分析し、評価するプロセス」
です。
この活動を的確に行うことで、本当に必要なセキュリティ対策を効率的に実施することができます。
ISMS運用においては、リスクアセスメントを“形だけの作業”にせず、組織の実情に即した内容にすることが、信頼性と実効性の高い情報セキュリティマネジメントへの第一歩です。
